「英語ができる」ようになるためにはどれくらいの語彙数が必要なのか?
語彙増強に取り組んでいると、自分の現在の語彙数はどれくらいだろう?最終的にどれくらい覚えたら良いのだろう?という疑問がでてきたので、調べてみました。
日本人、ネイティブスピーカーの語彙数比較
だいたい以下のようになっているそうです。
日本人
世代/英検 | 語彙数 |
---|---|
高校卒業時 ※TOEIC 600点 (英検2 級) | 6,000語 |
英検準1級 | 8,000 – 9,000語 |
英検1級 | 10,000 – 15,000語 |
英語のネイティブスピーカー
世代 | 語彙数 |
---|---|
高校卒業時 | 12,000 – 14,000語 |
大学卒業時 | 17,000 – 20,000語 |
成人 | 20,000 – 30,000語 |
日本では「大学受験が英語力のピーク。」という言葉もあるくらいですが、高校卒業時のレベルは英検2級に相当し、それがTOEIC600点くらいだそうです。そしてそのレベルの語彙数が6,000語。TOEICが公式に出している資料では日本人のTOEIC平均は512点でした。(2013年)
TOEIC受験者全体の中では、大学1年生の受験者が1番多いのですが、大学受験から初めてのTOEIC受験までに単語を忘れてしまったのでしょうか。私見ですが、それまでの受験英語や英検のアカデミックな英語とTOEICのビジネスよりの英語のギャップや、TOEICのテスト方式に不慣れなせいかもしれません。
対してネイティブスピーカーの高校卒業時が少なくとも12,000語、成人なら20,000語とあり、日本人平均の約2〜3倍の語彙数が必要という事が分かりました。それは英検1級以上のレベルの語彙数に相当するということで、なかなか大変そうですね。
語彙数の数え方は?〜トークン、タイプ、レンマ、ワードファミリー
今まで「6,000語」、「12,000語」と書いてきましたが、この「語」はワードファミリーと呼ばれる単位を使っています。
単位とは、何をもって1単語とするかの定義になりますが、大きくわけて4つの定義があります。トークン、タイプ、レンマ、ワードファミリーの4つです。
Did he do his homework last night?
-Yes he did.
という英文があったとき、did, he, do, his, homework, last, night, yes, he, didと全て数え10単語とするのがトークン。did, heは2回出現しているので、それらをまとめて1単語とし8単語するのがタイプ。
レンマは、同じ品詞の変化形も全て1単語とする数え方で、work, works, workedを1単語として考えます。注意点としては、「品詞が同じであれば」ということなので、動詞workと名詞workは別カウントということになります。
さらにもっと突っ込むと、レンマは、辞書の見出し語に相当していて、監修する出版社によって違ってきます。go, went, goneなどは先のレンマの定義ですと1語とカウントされるはずですが、辞書によって不規則変化はそれぞれ見出し語となり、3語とされることもあります。
続いてワードファミリーとはさらに品詞がちがっても似たような意味をもつ単語を全て1語として数えます。例えば、happy, unhappy, happily, happinessなどhappyをベースとして様々な接辞がついた単語全てを1語と数え、これが一番広く使われているようです。
ちなみにワードファミリー換算とレンマ換算の単語数の変換は、ワードファミリーx1.6=レンマという単純な式が一番知られているもののようです。つまり1,000ワードファミリーは、1,600レンマに相当します。
覚えるとは? 分かるとは?
また単語を「覚える」「分かる」という定義も、ゼロかイチかではなく様々な状態があります。
単語と意味がリンクしている前提で、
- 聞ける
- 読める
- 話せる
- 書ける
という4スキルがあります。
例えばTOEICや受験ではインプットにあたるリーディング力、リスニング力を測るものが多いのに対し、一般的に「話せる」事もしくは「聞ける」「話せる」「読める」「書ける」4つのスキルが備わっている事を英語ができると評価するのか、「TOEICのスコアは高いが英語ができない」という初学者を混乱させるようないじわるな言葉が出てくるので不安にならないでください。
ちなみにインプットのスキル、つまり意味を知っているが使えない単語は「受容語彙 (receptive vocabulary)」と言われ、それに対しアウトプットのスキル、つまり意味を知っていて且つ、使える単語は「発表語彙 (productive vocabulary)」と言われ、外国語においてだけではなく母国語においても同様に、受容語彙より発表語彙のほうが多くなります。
ちなみにRead-yではアウトプットのスキルをカバーしていませんが、私個人は英会話のレッスンを受けているので、ニュースを読んで仕入れた情報をレッスン時にアウトプットして、発表語彙につなげるようにしています。
参考:
TOEICプログラム DATA&ANALYSIS 2013 (pdf)